最高裁判所第三小法廷 平成10年(オ)1070号 判決 1999年11月30日
上告人(被告被控訴人)
株式会社御宿ゴルフ倶楽部
右代表者代表取締役
加藤茂
右訴訟代理人弁護士
坂口公一
小林弘明
尾﨑毅
被上告人(原告控訴人)
N
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人坂口公一、同小林弘明の上告理由について
本件は、上告人の経営するゴルフ場である御宿ゴルフ倶楽部(以下「本件ゴルフ場」という。)の正会員となる旨の本件入会契約を締結した被上告人が、債務不履行を理由に本件入会契約を解除したとして、上告人に支払った入会金、預託金等の返還を求める事案である。原審は、被上告人が解除の意思表示をした平成七年一月一二日の時点において、本件ゴルフ場にリゾートホテルを建設して会員の利用に供する債務につき上告人が既に履行遅滞の状態にあったとして被上告人による解除を認め、被上告人の請求を認容した。
原審の適法に確定した事実によれば、上告人は、本件ゴルフ場に室内外プール、アスレチックジム等を備えた会員用の高級リゾートホテルが建設されることを強調して本件ゴルフ場の会員の募集を行っていたものであり、被上告人も、最高級の家具調度品を備えたリゾートホテルが本件ゴルフ場に併設されること等を考慮して本件入会契約を締結したというのであるから、上告人が右のようなリゾートホテルを建設して被上告人らの利用に供することは、本件入会契約上の債務の重要な部分を構成するものというべきであり、被上告人は右の債務の履行遅滞を理由として本件入会契約を解除することができるものと解するのが相当である。以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 元原利文 裁判官 千種秀夫 金谷利廣 奥田昌道)
上告代理人坂口公一、同小林弘明の上告理由<略>